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ぽち拾遺物語

ぽち拾遺物語

柳河原の捨てられ犬来る事

 ぽちは、拾われワンコだ。
 ウチの畑の近くに捨てられていた。その頃、母方の祖母が倒れ、ばたばたしていた我が家は捨てられ犬がいることなど、知らなかったのだが、地域の人が水桶を置いたり、えさを運んだりしていたらしい。
 大勢の家族や親戚、友人知人に見送られ、祖母が逝き、一段落した頃、そろそろ、冷え込みが気になる季節になっていた。
 我が家の畑の片隅で生きていた犬たちにとって、厳しい季節が近づきつつあることを懸念した地域の人が、市役所に保護を求めた。
 でも、市役所って捕獲・処分はしても、保護まではなかなかしてくれないのだ。引取り手がいなければ、処分すると宣言されてしまったという。
 そこで、我が家で犬を引取ってくれないかという話が浮上した。別に、ウチの畑の近くに捨てられていたから、とかいうことじゃない。
 うちの家族がいぬ好きだったからだ。先代アスランが逝って二年。アスランの遺した父手作りの小屋は、まだ庭にあった。
 もう、一刻の猶予もない。捨てられ犬を引取ることに難色を示していた父も、母の説得とと近所の人の泣き落としを受け入れ、いぬは、うちに来ることになった。(父は、ほとんど野犬だから、どんな病気をもっているか分からないし、体力もないかもしれない、迎え入れた家族をすぐに失うことにもなりかねない、そうなったら辛いと思ったんだと思います。)
 その段階では、犬が成犬か仔犬か、オスかメスかもなぞ。堅守も分からないけど、まぁ、雑種だろーな、みたいなことしかわかってなかった。
捨てられ犬を目撃したことがあるのは祖母だけ。(なくなった祖母ではありません。一緒に住んでいる、父方の祖母です)
「ばーちゃん、どんなら犬だった?」
「んー、ちゃいろと黒の二匹いた。そんでね、あんた、足が四本あるだよー!」
「…大きさは?」
「茶色いほうは黒いほうよりいかく(大きく)なるずらね」
「…それだけじゃわかんないよ。ほかにないの?」
「逃げ足がはんやい!!」
 結局祖母から聞き出せた情報は「茶色か黒の四足動物(速)」のみ。
 なぞに包まれたまま、犬は我が家にやってくることに。
 そして、我が家にやってきたのは、耳のたれた、足の太い、茶色い赤ちゃんワンコ。怖い目にあったらしく、声をかけても、撫でても、ブルブル震えて目をそらして「みてない。みてない。ココには誰もいない。なかったことにしよう。」と、イナイイナイの術を使う超くらい性格の犬。
 でも、「この犬は、うちの子だ」と、一目で思った。
 おかしいな、一目ぼれなんてしない主義なのに。(笑)

でかあかちゃん
うちにきたばかりのぽち。栄養失調といえど、5キロあるでかあかちゃんでした。


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